AI時代のDX知識

【第9回】小さく始めるDXが、組織を変え始める

Ryosuke Ishii

DXという言葉を聞くと、多くの人が「全社改革」や「基幹システム刷新」のような大きな取り組みを思い浮かべる。
ただ、ここまで見てきたように、AIの登場によって変わり始めているのは、もっと身近なところだ。

部門単位の業務、日々の集計、判断のための小さな仕組み。
そうした領域では、必ずしも大規模な投資や長期プロジェクトを前提にしなくても、DXは動き始める。

DXは「全社」から始めなくていい

現場で起きている変化を見ていると、DXの起点は意外なほど小さい。
Excelで回していた業務を少しだけシステム化する。
手作業で集めていたデータを、自動で見られるようにする。

こうした取り組みは、数百万円から数千万円規模で実現できることも多い。
重要なのは、最初から完璧な仕組みを作ろうとしないことだ。

大きな基幹システムをどうするか、という話とは切り離して、
「この業務をもう少し楽にできないか」
「判断を早くできないか」
という問いから始める方が、現場は動きやすい。

小さな内製化が生む変化

こうした小さなDXでは、内製化の効果が特に表れやすい。
開発スピードが変わり、修正のハードルが下がり、会話の質が変わる。

「仕様を固めて依頼する」から
「一緒に考えながら形にする」へ。

この変化は、システムそのものよりも、組織の振る舞いを変えていく。
ITベンダーに頼らなくなる、という話ではない。
関係性が変わる、という方が近い。

非エンジニアが関わる意味

ここで重要になるのが、非エンジニアの関わり方だ。
求められているのは、コードを書くことではない。

業務をどう捉えているのか。
どこに違和感があるのか。
何を判断材料にしたいのか。

こうしたことを言葉にし、整理する力が、自然と現場に残っていく。
要件定義という言葉を使わなくても、その芽は確実に育ち始める。

完璧を目指さないことが、前に進む条件

小さく始めるDXがうまくいく組織には共通点がある。
最初から正解を求めないことだ。

作ってみて、使ってみて、直す。
そのサイクルを回せる前提が、AIによって整い始めている。

DXは一度きりのイベントではなく、習慣に近い。
小さな成功体験が、次の一歩を生み、組織の中に静かに変化を残していく。

ABOUT ME
石井 亮介(りょうさん)
石井 亮介(りょうさん)
データパレード 代表取締役
㈱データパレードの代表取締役で高田馬場の町中華のChief Data Officerをしています。 BIツールのセールスエンジニア・システムエンジニア・カスタマーサクセス歴15年、大学データサイエンス科 講師をしています。データエンジニア領域とコンサルティングが得意です。
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