データ活用

BIツールの命名規約について考える

Ryosuke Ishii

BIツールの構築を進めるうえで、検討しておかねば後で絶対に後悔する領域、そのひとつに命名規約があります。

命名規約がないとどうなるのか

命名規約がないままプロジェクトを進めると、以下のような問題が発生する可能性があります。

  1. 混乱と誤解: みんなが自由に名前を付けると、同じものが異なる名前で呼ばれたり、異なるものが同じ名前で呼ばれたりして、混乱を招くことがあります。
  2. 理解しにくい: プロジェクトのメンバーが変わったり時間が経つと、他の人が書いたコードを理解するのが難しくなります。
  3. 手間がかかる: プログラムやデータベースを修正する際に、どこをどう変更すればいいか分かりにくくなり、時間と労力が余計にかかります。
  4. チームの協力が難しい: みんなが共通のルールで作業していないと、チームメンバー間でのコミュニケーションがスムーズにいかず、効率的に働けません。

命名規約を設けることで、こうした問題を防ぎ、プロジェクトを円滑に進めることができます。

一般論はわかる、でもいまいちピンと来ない

上記の命名規約がないことの弊害はChatGPTが教えてくれました。書店にある本を手にとってもこのようなことが書いてあると思います。

あとはテーブル名は英字がいい、とか日本語がいいとか、いろんな情報が行き交います。

下記の記事は、Dr.Sum(DWHツール)の命名規則のベストプラクティスを紹介しています。

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Dr.Sumを使用するユーザー層を判断して、接頭辞をつけた日本語表記をベストと考えております。

ここまで情報があると「でも自分たちにとっての正解はなんなんだろう」と悩まれる人はいらっしゃると思います。

今回の記事ではBIツールにおける命名規約の考え方について紹介をさせていただきます。

りょうさん
りょうさん

ITベンダー、ITメーカー、社内情シスなどの立場でBIツールに様々な命名規約をつけてきましたので、そのポイントを解説します

誰のために命名規約をつけるのか

結局はこの一言に尽きます。

命名規約をつけないことの弊害は先に述べた通りです。ではその弊害を被る人は誰なのか、そしてその方々のITリテラシーはどれくらいのものかを考えてみましょう。

現場ユーザーがDWHのテーブルを参照して、自由にレポートを書く場合は、参照するテーブルは現場ユーザーにわかりやすくする必要があります。

DWH内は基幹システムと併せて、ビューやデータマートなど現場ユーザーが触れる部分は一覧の見やすさと認識のしやすさを意識する必要があります。

BIツールの作成までをITベンダーが請け負う場合は、BIツールのレポートが日本語表記になっていて、残りは基幹システムと合わせればいいでしょう。
※基幹システムのデータベースは英語表記の場合が多いです

基幹システムとDWHを管理するITベンダーとしては、なるべく基幹システム側の構成を守った方が運用コストを下げることができます。
仮にシステム部門がDWHに触る場合は、DWH内の命名はその触る人が基幹システムの名称の方がわかりやすいのか、現場ユーザーにわかりやすい表記にすればいいのかを選択する必要があります。

ステークホルダーの把握とそのITリテラシーを考える

重要なのは、基幹システム・DWH・BIツールを触れる人のそれぞれを定義して、その人たちのITリテラシーを考慮することが重要となります。

ここを怠ると運用コストがかさみ、後任者が引き継ぎをしたくないシステムとなり、やがてそのシステムは廃れていってしまいます。

みんなが使うシステムをつくるには、そのシステムに触る人全員が、システムを好意的に思うことが大事です。命名規約の設定はひとつのコミュニケーションです。

自分以外の誰かがこの設定内容で理解してくれるのか、を意識しながら設計をしていく必要があると考えます。

ABOUT ME
石井 亮介(りょうさん)
石井 亮介(りょうさん)
データパレード 代表取締役
㈱データパレードの代表取締役で高田馬場の町中華のChief Data Officerをしています。 BIツールのセールスエンジニア・システムエンジニア・カスタマーサクセス歴10年以上経験、データエンジニア領域とコンサルティングが得意です。BIツール研究所・DMS Cubeなどデータ系コミュニティーのアンバサダーをしています
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