データ活用

データ活用推進者が知っておきたいデータの管理とは?

Ryosuke Ishii

9/4と9/18にウイングアーク1stのコミュニティ”nest”でDr.Sum管理者向けのデータマネジメントのイベントに登壇しました。

このイベントはDr.Sumを導入したLOB層向けにデータマネジメントとはどのようなものか、最初の一歩を進めるには何からやったら良いかを伝える内容となっております。

ウイングアーク1stのコンテンツであるCustomer Successサイトに「全社利用に対応できるデータ管理の実践」のコンテンツの内容に沿って、Dr.Sumを導入した方々のお話を聞きながら議論をするイベントとなりました。

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全社利用に対応できるデータ管理の実践〜はじめてのデータマネジメント〜
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初級編(9/4)のイベントについて

9/4の実施した初級編はデータマネジメントの最初の一歩を歩み出す方々に、データマネジメントのことを難しく考え過ぎずに進めてほしいという思いの中、”最低限のデータマネジメント”の全体概要を伝えるイベントとなっている。

講義セッション

本講義ではデータマネジメントコンテンツの全体像の説明をしている。初級編のイベントではまずデータマネジメント全体の方向性を掴んでいただく内容となっている。

データマネジメントの最初の一歩

今回の内容はデータ活用をするために必要な”最低限のデータマネジメント”を紹介する内容となっている。”データマネジメント”という単語にピンと来ていない非エンジニアの方に対し、データマネジメントの重要性に気付いていただき、まず最初の一歩を歩みだしてもらうためのものである。

なぜデータマネジメントが必要なのか

Dr.Sumはまずは小さく現場部門に導入をして、そこから徐々に全社展開していくパターンが多い。しかし利用人数や取り込むデータの種類が多くなると、考慮しなければならないポイントが多くなってくる。

属人的な対応で対処を続けていくと、制限が多くかかってしまい、ユーザーの拡大に待ったがかかってしまうことが多くある。

データマネジメントの全体像

本来のデータマネジメントは学習する内容が非常に多く、複雑なものになる。その中でDr.Sumで扱えて、かつ最低限のレベルであるところを抜粋して説明をする。

データがつかえるようになるまで

データ活用の世界にクローズアップしても、覚えることがたくさんある。データがつかえるようになるまではデータレイク→データウェアハウス→データマートの順にユーザーが扱えるまでのデータ加工のステップを踏むことになる。

全社利用に対応できるデータ管理の実践

Dr.Sumはデータウェアハウスやデータマートの領域で活用されることが多い。基幹システムからの連携やデータレイクからの連携がメインとなる。

トークセッション

MotionBoard Cloudを長く活用され、先日Dr.Sum Cloudを導入したピー・シー・エー株式会社の中村様とモデレーターの石井のセッションを実施。

内容抜粋

石井:Dr.Sum Cloudを導入中と聞いてるけど、今どのような感じなのか?
中村様(以下敬称略):MotionBoard Cloudをずっとつかってて、データ量や加工の必要性があったのでDr.Sumを導入した。MotionBoard Cloudのモデルをつかって加工していたところをDr.Sumのビューに変えたりしている。

石井:モデルはかなりつかってた?
中村:Dr.Sum導入前は乱立してた
石井:モデルは使いやすい反面、似たデータがたくさんできてしまうので、データの品質に影響が出てしまう。Dr.Sumのビューをつかって、似たデータを統一するのはデータマネジメント的にとても良い行動である
中村:今はデータストレージが1/3まで落ち着いてきているので、見直しに効果がでている

石井:データマネジメントを意識したことある?
中村:正直なところそこまで考えていない
石井:これからたくさんの部門がデータを閲覧することになるのであれば、データセキュリティは意識したい。たとえば部門ごとに見えるデータを制御したりとか

石井:データマネジメントを考慮した運用をすると引き継ぎのときにとても便利、引き継ぎは初代と二代目ではモチベーションが異なるので、自分と同じやり方は通用しない
中村:まさにMotionBoardで似たようなことがあった。背中を見て育てタイプの引き継ぎだったので、大変苦労した
石井:先ほどのモデルの話のように、整理された仕組みを用意しておかないと、引き継いでくれる人に迷惑がかかってしまう

総評

データマネジメントを知らずにDr.Sumの導入をされた中村さんであったが、最初の一歩となるところは実施されていた。普段から意識されているデータの管理がデータマネジメントの一歩目となることがある。

これからデータマネジメントを実施する方々も安心して取り掛かってほしい。

実践編(9/18)のイベントについて

実践編は前回実施した”最低限のデータマネジメント”について、Dr.Sumで最初にとりかかるべき項目に対し、深堀りをしていく。

講義セッション

講義セッションでは”最低限のデータマネジメント”の重要な要素となる、以下の項目についての説明をした。

・データセキュリティ
・データ品質
・メタデータ
・体制とメンバーの役割

データセキュリティ

ユーザーの拡大や取り込むデータが増えた際に、どのユーザーに対しどのデータの閲覧を許可するかを決めなければ、データ漏洩のリスクが発生してしまう。

すでにDr.Sumに取得しているデータを整理してみる必要がある。権限があるからといいすべてのデータを取得してしまっていないか、他部門のレコードを閲覧することは問題ないかなどを検討する必要がある。

データ品質

データ品質を考えるだけでも6つの視点がある。今回の”最低限のデータマネジメント”では正確性に焦点を合わせて言及していく。

データ品質の正確性を保つ最低限の管理として、

①取引先の住所情報
②商品コード、取引先コードなどのコード値のNULLチェック
③名称の揺らぎ

を検証しておく必要がある。

メタデータ

データ活用をする人に重要なメタデータとしてデータカタログ管理が必要になる。スプレッドシートなどでデータカタログを管理して、これをユーザーがワンクリックで閲覧できる場所に配置しておく必要がある。

管理者にとって必要なメタデータも確認しておく必要がある。これらの情報を一元管理することが重要である。

体制とメンバーの役割

データマネジメントに必要な役割は多いが、”最低限のデータマネジメント”ではデータアーキテクトとデータスチュワードに限定している。

本来は2人必要だが、メンバーが足りなければ両方の目標を持った1人で担当することもできる。その際には役割を兼任しているという自覚が重要となる。

おわりに

最低限のデータマネジメントについて講義をしたが、今までお伝えしたことはあくまで”手段”である。データ管理者であるあなたを中心にプロジェクト参加者がどんどん増えていくことになる。社内のメンバーに自分の背中を見せ続け、データ活用の波を広げていこう。

トークセッション

MotionBoard Cloud for Salesforceを長く活用され、Dr.Sum Cloudを導入し数年が経過した東急リバブル株式会社の濱中様とモデレーターの石井のセッションを実施。

内容抜粋

石井:3,000名以上が扱うMotionBoardやDr.Sumの管理をされている濱中さん。
濱中:不動産の営業を長年経験し、業務側としてシステムへの要望を出していたら、ある日システム企画や管理する側になった。

石井:MotionBoardやDr.Sumをいつ頃入れた?
濱中:MBを入れたのは約5年前で、レスポンスに課題が出てDSを入れた
石井:データストレージの削減は?
濱中:した

石井:メタデータについてはどう思った?
濱中:リバブルではデータカタログの検討が始まっている。データの蓄積ができてきたので、経営層からも「データを使え」という指示が出ている。リバブルではデータ活用の推進を業務側が行うようにしている。情シス側は蓄積したデータの説明書を用意して、業務側に伝達をしている。特にデータカタログはインプットとアウトプットのそれぞれが必要で、このテーブルのこの項目は「どこのシステムのどのテーブルから来て、どのシステムに行く」のような案内が必要になる。

石井:体制と役割のところでは、リバブルはどのようにしている?
濱中:メンバー不足なところもあり、明示的にこのような役割を分けられていない。
石井:濱中さんは社内ではどのポジションとなる?
濱中:現場にシステムの説明をしたり上司陣に説明をしたり、ベンダーと会話したりが役割のひとつ。
石井:そのときになにか気をつけていることはある?
濱中:現場には極力システムの専門用語を話さないし、逆にベンダーにはシステム用語を使う。話す相手によって思考を切り替えている。現場のリクエストを右から左にベンダーに伝えるのではなくて、ちゃんと翻訳をする。
石井:濱中さんが普段やっていることが説明の中にあったデータアーキテクトとデータスチュワードの両立のこと。
濱中:「データマネジメント」を意識してやってることではなく、自分で気にしていた部分だった。
石井:「データマネジメント」だから「こうする」ではなく、一般的な業務を紐解くと実はもうやっているということが多い。改めて説明すると大変なように見えるけど、実質はそうじゃない。
濱中:「データマネジメント」に対する敷居がちょっと下がった。
石井:資料にして整理すると「データマネジメント」は煩雑に見えるけど、ひとつひとつを見ると本質的な内容で、「データマネジメント」以外でもやっていることが多いので、まずは一歩進んでみてほしい。
濱中:データマネジメントをするということは、これから引き継ぎをする相手だけでなく自分自身も楽になるということがよくわかった。

総評

大きな企業でBIツールを使用しているユーザー数も多く、データマネジメントについて高い課題意識を持ち、徐々に実施している状況だった。

データマネジメントは規模の大小ではなく各社が取り組まなければならない課題なので、まずは最初の一歩を踏み出すところから始めてほしい。

ABOUT ME
石井 亮介(りょうさん)
石井 亮介(りょうさん)
データパレード 代表取締役
㈱データパレードの代表取締役で高田馬場の町中華のChief Data Officerをしています。 BIツールのセールスエンジニア・システムエンジニア・カスタマーサクセス歴10年以上経験、データエンジニア領域とコンサルティングが得意です。BIツール研究所・DMS Cubeなどデータ系コミュニティーのアンバサダーをしています
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