【第7回】非エンジニアが「考える側」に立つという変化
内製化が進んだ現場で起きていること
部門単位での内製化が進み、「自分たちで作れる」という感覚を持つ現場は確実に増えてきている。小さな業務改善や簡易なシステムであれば、以前よりもはるかに短い時間で形にできるようになった。
一方で、内製化が進むほど、別の悩みも生まれてくる。
この設計で本当にいいのか。
将来、別のシステムとつなぐ必要はないのか。
いまは便利だが、数年後に足かせにならないか。
作ること自体はできるようになった。だが、「判断する」場面で立ち止まるケースが増えている。
事業会社だけでは抱えきれない領域
内製化がすべてを解決するわけではない。むしろ、内製化が進むことで初めて見えてくる難しさもある。
たとえば、全体最適の視点。
部門としてはうまく回っているが、会社全体で見ると歪みが生まれていないか。
あるいは、技術選定の責任。
「今」動く技術と、「数年後」も使える技術は必ずしも同じではない。
さらに、失敗したときの影響範囲。
小さく始めたつもりが、いつの間にか業務に深く入り込み、簡単に止められなくなることもある。
こうした判断は、現場の知識だけでは難しい場合が多い。
ITベンダーに残る価値はどこにあるのか
内製化が進むと、「ITベンダーの役割はなくなるのではないか」と感じる人もいるかもしれない。
ただ、現実には逆の動きも起きている。内製化が進んだ現場ほど、外部の知見を必要とする場面がはっきりしてくる。
ITベンダーが持っているのは、単なる実装力ではない。
他社での成功例や失敗例。
似た構造の業務をどう整理してきたかという経験。
技術と業務の間で、何が起きやすいかという勘所。
AI時代において、ITベンダーの価値が最も高まるのは、「何を作るか」「どう判断するか」を支える領域だ。
「共に考える存在」への役割の変化

これからの関係性は、「すべてを任せる」でも、「完全に自分たちでやる」でもない。
事業会社は、自分たちで考え、小さく作り、試す。
ITベンダーは、その過程で判断が難しいポイントを一緒に整理する。
設計の妥当性。
将来の拡張性。
リスクの取り方。
こうした部分で壁打ち相手になることが、これからのITベンダーの重要な役割になっていく。
対立ではなく、役割の再定義
内製化と外注は、対立する概念ではない。役割分担が変わるだけだ。
内製化によってスピードと現場感は高まる。
外部の専門性によって、判断の質と安心感が保たれる。
この両立ができたとき、DXは初めて前に進む。
次に進むために必要な視点
ここまで見てきたように、内製化が進んだ先に残るのは、「考える力」と「判断を支える関係性」だ。
次回は、この流れの中で、非エンジニアがどのようにスキルを積み上げていくのか。
そして、そのスキルがどこまで求められるようになるのかについて、もう一段踏み込んで考えていく。

