データ活用は可視化で終わりじゃない、データ配信の重要性【ユーザーのデータリテラシーを上げるために】
レポートのリリースでプロジェクトが終わってないか
あなたがデータ活用の推進者であったり、データ分析基盤を管理する部門に所属していたとき、データの可視化を実施したら、「もうプロジェクトは終了!」としてしまっていることはないでしょうか?
レポートのリリースはまだ通過点である
データ活用プロジェクトを社内で実施した場合、レポートのリリースをプロジェクトのゴールと起きがちになります。なぜなら成果物が目に見えてわかるのがレポートだからです。
しかしデータ活用で重要なポイントはレポートがリリースされてから、現場のユーザーはどのようにレポートを使用し、そのデータを見てアクションを変えていったかという点になります。
いくら良いレポートができても閲覧されていなきゃ意味がありません。閲覧数が少なかった場合、レポートの内容が良くないのかだけでなく、現場ユーザーの導線を考えなければなりません。
レポートのリリースでプロジェクトが終わってしまい、その後あまり活用がされていないデータ活用プロジェクトをたくさん目にしています
レポートリリース後にやらなきゃならないことがある
レポートのリリースはプロジェクトの終わりではなく始まりです。このあとに必要なのは「データの利活用プロジェクトの立ち上げ」であると考えています。
BIツール導入後、さらに現場ユーザーに利用してもらう方法については、別ブログに書いておりますので、気になる方はぜひ参照してください。
今回は上記の記事では書いていない「データ配信」について、紹介をしていきます。
データ配信は必要なのか
結論を言うと必ずしも必要というわけではないと思います。主にデータ配信が必要な状態を2つ挙げます。それは
- レポートを見るための手続きが多い
- データリテラシーが高くない
の2つです。ひとつずつ解説します。
レポートを見るための手続きが多い
ある決まったレポートを週に一度閲覧しに行くとします。ブラウザのブックマークに入れておけば一発でレポートが見れる! という状態であれば何も問題ありません。
仮に
・BIツールにログインする
・二段階認証する
・BIツールのポータル画面から目的のダッシュボードを見つける
・抽出条件をセットする
といった行動があったら、気軽に見たいと思わなくなってしまいます。
会社のセキュリティ規約など超えられない壁も存在するので、企業によっては解決の難しいところになります。
しかし、現場ユーザーのUXを考えると、この導線はデータ閲覧に対しての興味を失ってしまいますね。
ルーティンの作業って手続きが多ければ多いほどイヤな印象を持ってしまいます。レポート閲覧もおなじなんです。
データリテラシーが高くない
データリテラシーとは、よく「データの価値を活かせる力」と言われます。データに基づいた行動の成功体験を持っている人であれば、普段から積極的にデータを閲覧しに行きます。このような方々はデータリテラシーが高いと言えます。
しかしこういった成功体験がなく、トップダウンで言われるがままにデータを見ていると、データを閲覧することをクセにすることは難しいと思います。
データリテラシーは一朝一夕で高められるものではなく、また部門単位など周りの状況にも影響されるものです。データリテラシーを徐々に高めていってもらうためにも、まずはやや強制的にでもデータに触れる仕組みを構築してもいいと思います。
このような2つの課題がある企業はデータ配信を検討して良いと思います。
データ配信はどのようにやるのか
データ配信とは可視化したデータを現場ユーザーの手元まで届けることを意味しています。データデリバリーですね。
データ配信の特徴は2点あります。
- スケジュールによるプッシュ型配信
- 現場ユーザーからデータを取得しに行くプル型配信
この2つについて解説をします。
尚、本記事ではdejirenの詳細について割愛します。dejirenが気になる方はこちらの記事をご覧ください。
スケジュールによるプッシュ型配信
データ配信をすることで現場ユーザーはBIツールにログインして自分からデータを確認しなくても、情報を確認することができます。
例えばdejirenというツールを使うとMotionBoardのダッシュボードの全体や個別のチャートをチャットに配信することが可能です。
このdejirenのスケジュール配信機能を見ると、以下のような感じになります。
この場合はdejirenというアプリのチャット機能にデータを配信していますが、Slack、Teamsなどのチャットに情報を送ることも可能です。
業務時間前や昼休みなど、現場ユーザーの余裕のある時間を狙って配信しましょう。
現場ユーザーからデータを取得しに行くプル型配信
定型の質問を用意しておいて、現場ユーザーにチャット上から質問をしてもらい、情報を渡すことをプル型配信といいます。
dejirenであらかじめ定型の回答を用意しておけば、最新のデータをチャットに送ってくれます。
データ配信はツールが必要なのか
dejirenのようなツールが用意できなくても、プッシュ型配信であればBIツールやプログラムのちからで対応可能です。
BIツールの機能にチャットへのスケジュール配信があればそれを利用できますし、Web APIが開放されていればPythonでBIツールから情報を抜き出して、チャットツールに送信するという手段もとれます。
まずはプッシュ型配信で情報を出しておいて、そのチャットの中にレポートのURLを入れておきましょう。興味を持った現場ユーザーはレポートを見に行きますよ!
プッシュ型配信は現場ユーザーの”気持ち”をよく考えよう
プッシュ型でスケジュール配信をするときには、現場ユーザーの心境を把握しなければなりません。特に
- 何時に情報を送るか
- 現場ユーザーが閲覧する手段はPCかタブレットかスマホか
- 通知は鳴らすかミュートにしてもらうか
という点はしっかり検討をしなければいけません。これらの気持ちを読み違えると”データの押しつけ”になります。雑多なメルマガと同様に読まれない情報となってしまいます。
もし定時前に情報を送るのであればリモートワークなのか出社しているのかでPCやスマホを開くタイミングが異なります。電車に乗っている時間にスマホに送るのは効果的かもしれません(一旦セキュリティのことは度外視してます)。
毎日決まった時間に届くのならば、通知が来たら煩わしいですね。その場合はメールでもよいかもしれません。
プッシュ型配信ひとつをとってもこれだけ考えることがあります。答えのない世界なので開封率やアンケートなどで状況をチェックして、時間をかけて試行錯誤をすると良いでしょう。
考えることが多いだけに達成できるとデータリテラシーが自然とあがるコミュニケーションとなります
データ配信からデータリテラシーを向上する
まずはプッシュ型配信で、情報を送り、現場ユーザーに興味を持ってもらいます。そこからプル型配信で定型のQAのやり取りをチャット内で行う。
そうしてデータに興味を持ってもらったところで、BIツールにログインしてレポートを様々な角度で閲覧する。
最終的に自分からレポートをつくるようになる。
以上のような流れをつくる最初のきっかけがデータ配信であると考えます。
データ活用プロジェクトはレポートをリリースするだけではありません。現場ユーザーのデータリテラシーを向上させ、データを身近に感じてもらえる状況をつくることが重要です。
長期的なプロジェクトととらえ、企業全体のデータリテラシーを上げていきましょう。