地価・空き家・2050年人口を公開データで確かめた ― Tableauダッシュボード3本と、外部採点10回の作り直し
地価は本当に上がっているのか。空き家はどこで増えているのか。25年後、人はどこに住んでいるのか――。ニュースでよく聞く話題を、公開データだけで確かめるダッシュボードを3本作り、Tableau Publicで公開しました。
データは、truestar社のPrepper Open Data Bank(PODB)が整えている国の統計(地価公示・住宅・土地統計調査・国土数値情報)です。作ったのはデータパレードのAI副社長「アケミ」。外部の採点役に10回採点してもらいながら作り直しました。その経緯も最後にまとめています。
この記事でわかること
- 2026年の地価公示で地価が上がったのは3地点に2地点(67%)。大きく上がった地点の74%は三大都市圏
- 使い道のない「放置空き家」の割合は鹿児島12.5%、東京2.6%。最も高いのは高知県土佐清水市の32.9%
- 2050年には、いま人が住む1km四方の8つに1つが無人に。人口が増えるのは東京都だけ
① 地価はどこが上がった? 地価公示で見る43年
- 2026年に地価が上がったのは25,565地点のうち17,016地点(67%)。継続地点の平均は+2.8%(前年+2.7%)。
- +3%以上上がった地点のうち74%が三大都市圏。三大都市圏は全地点でも54%なので、大きく上がった地点ほど都市に集まっています。
- 上昇率1位は北海道千歳市千代田町(商業地)の+44.1%。トップ10のうち3地点が千歳市です。
- 前年比の平均を積み上げた独自の指数(1983年=100)では、1991年の207.1から2026年は96.5。全国の地価はまだ1983年の水準に届いていません。商業地は2.4倍まで上がってから0.7倍まで下がりました。
▼ Tableau Publicで開く:地価はどこが上がった? 地価公示で見る43年
② 放置空き家、鹿児島は東京の5倍
空き家率の上位には別荘地が並びます。そこでこのダッシュボードでは、賃貸用・売却用・別荘などを除いた空き家(住宅・土地統計調査の「その他の空き家」)を「放置空き家」と呼び、その割合を見ました。
- 人口1.5万人以上などの1,214市区町村の放置空き家率は5.6%(約18軒に1軒)。2018年は5.3%でした(全国の公表値は町村を含めて5.9%)。
- 5年間で放置空き家率が上がったのは1,212市区町村のうち740(61%)。
- 県ごとに合計すると鹿児島県12.5%、東京都2.6%で約5倍の差。最も高い市区町村は高知県土佐清水市の32.9%です。
- 散布図では、空き家率が同じくらいでも放置空き家率は大きく違うことが分かります。右下の軽井沢町や熱海市は、空き家の多くが別荘や賃貸の空室です。
▼ Tableau Publicで開く:あなたの街の空き家率 放置空き家を市区町村別に見る
③ 2050年、1km四方の8つに1つが無人に
- いま人が住む16.5万の1km四方のうち、2.0万(12.4%)が2050年に無人になる推計です。さらに19.7%は人口が半分以下になります。
- ただし、無人になるマスに今住んでいるのは約14万人(人口の0.1%)。もともと人の少ない場所から先に人がいなくなる、ということです。
- 全国の人口は1.23億人から1.05億人へ15%減。2050年には3人に1人以上(37.1%)が65歳以上です。
- 都道府県で見ると、減り方が最も大きいのは秋田県の−36.9%。人口が増えるのは東京都(+1.5%)だけです。
- 県の棒を押すと、地図とその県の内訳が切り替わります。秋田県では、いま人が住むマスの10.6%が無人に、35.1%が半分以下になります。
▼ Tableau Publicで開く:2050年、人が住まなくなる地域 将来推計人口メッシュで見る25年後
外部の採点役に10回採点してもらった
今回のダッシュボードは、作って終わりにしませんでした。データジャーナリズムやBIに詳しい「厳しめの採点役」を2人用意し、正しさ・伝わりやすさ・見た目・読みやすさ・動きとスマホ表示の100点満点で、公開版を10回採点してもらいました。採点役はどちらもAIで、毎回、前回の講評を見せずに一から採点しています。
1回目の点数は62.5〜75点。指摘を受けて直しては採点、を繰り返し、10回目には2050年人口が89点(2人の平均85.5点)まで上がりました。画面の数字は毎回、元のデータと突き合わせてもらい、食い違いは0件です。


採点で直した主なところは次のとおりです。
- 見出しを結論にした:「2050年、人が住まなくなる地域」から「2050年、1km四方の8つに1つが無人に」へ。
- 数字の前提を見出しのすぐ下に書いた:「いま人が住む16.5万の1km四方のうち」「人口1.5万人以上などの1,214市区町村」など、小さな注記にしか書いていなかった前提を前に出しました。
- 大げさに見える数字に、もう一つの見方を添えた:「8つに1つが無人」に、「そこに今住むのは14万人(0.1%)」を並べました。
- ランキングは灰色+上位5県だけ強調:47県を全部色付けすると、どこを見ればいいか分からなくなります。
- スマホでは上位10県だけ:スマホ版で上位10県のランキングが表示されない不具合があり、それも直しました。
- 操作で絞り込めるように:県の棒を押すと地図と内訳がその県に切り替わります。
逆に、採点役によって評価が割れた点もあります。たとえば「上位5県の強調色を地図の赤とそろえるべきか、分けるべきか」は、回によって正反対の指摘を受けました。採点を鵜呑みにせず、何を伝えたいかに立ち返って決めることも大事だと感じました。
まとめ
- 地価の上昇は広がっているが、大きく上がった地点は三大都市圏に集中
- 使い道のない空き家は、四国・紀伊・鹿児島で特に多い
- 2050年に向けて、人の住む場所は確実に縮んでいく。増えるのは東京だけ
国が公開している統計とTableauを組み合わせるだけで、身近な疑問をここまで具体的に確かめられます。
出典:Prepper Open Data Bank(株式会社truestar)、国土交通省「地価公示」、総務省「住宅・土地統計調査」(2023年・2018年)、国土交通省「国土数値情報(500mメッシュ別将来推計人口、令和6年推計)」をもとに株式会社データパレードが加工・作成。地価指数は継続地点の前年比の平均を1983年=100で積み上げた独自の値です。

