AI/DX活用

AIの見立てと、人が書いたものを分ける

Ryosuke Ishii

この記事は、自社の業務アプリ DataParade Core の事例の一部です。全体は 特設ページ にまとめています。

この記事が満たす要求: 「探す時間をなくす」(特設ページ /00 の一覧)

打ち合わせの前に思い出すことがあります。この人は先に結論を聞きたい人か、背景から聞きたい人か。前回、何を気にしていたか。思い出せれば返す言葉が変わり、思い出せなければ同じ説明をもう一度することになります。

人の名簿に、性格と得意と進め方を持たせました。書くのはAIです。議事録の発言から読み取ります。ただし、AIが読み取ったものと人が書いたものを、同じ顔で出さないことを決めました。何を持ち、何を分け、何を出さないかを書きます。

人のページ(ダミー)
人のページ(ダミー)

名簿に性格があったのに、画面に出していませんでした

人の名簿には、以前から性格の欄がありました。打ち合わせの文字起こしから、AIが話し方や気にすることを読み取り、話者ごとに書いたものです。44人分ありました。

ところが、その欄は台帳の中にあるだけで、アプリのどの画面にも出ていませんでした。案件ページの関係者は名前だけ。打ち合わせの前に見るのは名前だけ。持っているのに使っていない、が半月続きました。

案件ページの関係者に、名前だけでなく性格と得意まで出すようにしました。「数字より先に段取りを聞きたい人」と知って返すのと、知らずに返すのとでは、返す言葉が変わります。

打ち合わせの前に開く1枚です

人のページは、打ち合わせの前に開く画面として作りました。相手がどういう人かと、どの案件で会うかを1枚で出します。

上に、得意なこと、話し方と進め方、覚え書き。下に、この人が関わっている案件。手が要るものが上に来ます。取引先のページからも、案件のページからも、この人のページへ飛べます。

会う前に1分で読み、会ったあとに一言足す。この使い方だけを考えて作っています。人の管理をする画面ではありません。

「誰が書いたか」を必ず添えます

性格の欄には、誰が書いたかが必ず付きます。AIの見立てなのか、人が書いたものなのか。

誰が書いたかを必ず添える
誰が書いたかを必ず添える

これを分けるのは、AIの見立てが外れることがあるからです。文字起こしの一部だけを読んで決めた性格は、その日の議題に引きずられます。外れた見立てを、人が書いたものと同じ顔で出すと、外れていても気づけません。誰が書いたかが見えていれば、「AIの読みだから、今日は確かめよう」と構えられます。

取引先ページの人の一覧でも同じです。性格の入っている人を上に、入っていない人を下に。誰が書いたかは、一覧でも付きます。

「社長が書いた」は嘘でした

作った当初、性格の欄には「社長が書いた」と出していました。人の名簿は、以前使っていた台帳ツールの話者の表から写していて、そこには人が書いた前提の欄があったからです。

確かめると、その表を書いていたのもAIでした。文字起こしを読んで話者の欄を埋める仕組みが、以前の台帳ツールの側で動いていたのです。写した先で「社長が書いた」と出すのは、二重の意味で嘘でした。

いまは「以前の台帳から(AIが書いたもの)」「このアプリのAIが読み取った」の2通りです。どちらもAIなので、色は分けません。人が書いた欄は、覚え書きだけです。出どころを1つ直すために、出どころを全部たどることになりました。

空の欄は「まだありません」と書きます

性格が入っていない人は、欄を隠さず「まだありません」と書きます。黙って詰めると、「無い」のか「取れていない」のかが区別できません。

「まだありません」と出ていれば、次の打ち合わせの文字起こしから埋まる、と分かります。欄そのものが無ければ、この人には性格の仕組みが効いていないのか、と探し始めます。空を隠さないことは、書類の「取れません」、取引先のお知らせの「見に行けていない」と同じ決めごとです。

名刺は別の表に持ちます

名刺は、名刺管理のサービスをやめて、このアプリで持つことにしました。過去の分は1,531枚。名前、会社、部署、役職、メールで探せます。名刺を探すときに人が思い出すのは、この5つです。

名刺は、案件の関係者とは別の表です。関係者は70人ほどで、名刺は1,531枚。混ぜると、案件の人が名刺に埋もれます。繋がっている名刺は、そこから案件の人へ飛べます。繋がっていない名刺は、名刺交換をしただけの相手です。取引先の画面に出るのは、取引先の会社と繋がった名刺だけにしました。

名刺(ダミー)
名刺(ダミー)

名刺の1枚を開くと、その人と会った記録と、同じ会社の他の名刺が出ます。「この会社、他に誰の名刺があったっけ」を、その場で出せるようにするためです。

案件の関係者に、性格が並びます

案件ページの関係者の欄には、名前と役割に、性格と得意が並びます。AIが接し方をまとめた文章が来ていれば、性格の生の列は引っ込みます。同じことを2通りで言うと、二重に見えるからです。

この欄は、社長ひとりが使うアプリの中にあります。相手本人には見せない書き方も含みます。対外に出すものではなく、打ち合わせの前に自分が読むためのものです。だからこそ、誰が書いたかを添え、外れているかもしれないと分かる形にしておきます。

まとめ

  • 人の名簿に性格・得意・進め方を持ち、打ち合わせの前に開く1枚に出す
  • AIの見立てと人が書いたものは、誰が書いたかで分ける。同じ顔で出さない
  • 空の欄は「まだありません」と書く。黙って詰めない
  • 名刺は関係者と別の表。繋がったものだけ案件と取引先に出す

打ち合わせの前に思い出す時間が、ページを開く1分に置き換わりました。同じ説明を二度することも減りました。

自社の業務アプリの全体像は 特設ページ に。次の記事: メール・チャット・Backlog を、案件ごとの1本にする

ABOUT ME
石井 亮介(りょうさん)
石井 亮介(りょうさん)
データパレード 代表取締役
㈱データパレードの代表取締役で、高田馬場の町中華「一番飯店」のChief Data Officerも務めています。BIツールのセールスエンジニア・システムエンジニア・カスタマーサクセス歴15年。大学のデータサイエンス教育で講師も担当してきました。現在は自社業務のほとんどをAIに移管し、AI10部署と50を超える自動処理が24時間動く「AI経営」を実践中。その実践知をこのブログで発信しています。
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