AI/DX活用

メール・チャット・Backlog を、案件ごとの1本にする

Ryosuke Ishii

この記事は、自社の業務アプリ DataParade Core の事例の一部です。全体は 特設ページ にまとめています。

この記事が満たす要求: 「探す時間をなくす」 / 「入力しなくても、台帳が最新である」(特設ページ /00 の一覧)

案件の連絡は、1か所には来ません。ある取引先はメール、ある取引先はチャット、開発の案件は課題管理ツール、社内はもう1つのチャット。打ち合わせの前に「最後に何を言われたか」を思い出すには、4つの道具を順に開くことになります。

いまは、案件ページの「やりとり」を開けば、どの道具から来た連絡も1本に並びます。どう集め、どう案件に結び、人が押すのは何かを書きます。

やりとり(ダミー)
やりとり(ダミー)

14の情報源を、同じ形にそろえます

つないだ情報源は14です。メール、社内チャット、取引先ごとに違う3種類のチャット、課題管理ツール、外部の3つのチャットの集まり、打ち合わせの文字起こし、会計、カレンダー、取引先のサイト、体調の記録。

14の情報源を4つの形にそろえる
14の情報源を4つの形にそろえる

連絡に関わるものは、全部を同じ形にそろえてから台帳に入れます。誰が、いつ、どの部屋で、何を言ったか。情報源ごとに持っている欄は違いますが、台帳に入るときには同じ4つになります。案件ページの「やりとり」も、全体を横断する「やりとり」の画面も、この4つだけで描きます。情報源ごとに見た目を発明しません。

APIの無いチャットは、画面を読みます

取引先が使うチャットには、外から読み取る口が無いものがあります。それでも連絡はそこに来ます。

口の無いチャットは、画面を読む方式で集めます。毎晩、ブラウザで部屋を順に開き、発言ごとの時刻と本人と本文を読み取り、日ごとの記録に書きます。部屋の一覧は手で列挙せず、組織ごとに全部を自動で巡ります。あとから増えた部屋も拾うためです。

この方式は、画面の作りが変わると止まります。「今日の分だけ日付が付かない」形式に変わった日から6日間、0件が続いたことがあります。取り込みは毎晩動いていたので、見張りは「壊れている」とは言いませんでした。「来ていない」と「壊れている」を分けて出すようにしたのは、このあとです。

部屋を案件に結びます

連絡を案件に結ぶ単位は、部屋です。チャットの部屋、メールなら差出人の会社。部屋と案件の対応を1つ決めれば、その部屋に来る連絡は全部、その案件に載ります。

メールは、差出人のアドレスの組織の部分で部屋を作ります。同じ会社からのメールは、担当者が変わっても同じ部屋です。この作りには限界もあります。個人のアドレスから来るメールは、1つの大きな部屋にまとまってしまい、自動では案件に載りません。個人のアドレスの相手は、1通ずつ手で結びます。自動で載らないことは、台帳を見る人が知っておく必要があります。

1つの部屋が複数の案件に関わることもあります。これは例外ではなく標準です。部屋を1つの案件に閉じ込めず、複数に結べるようにしてあります。

引用の返信を、本人の発言にしていました

チャットの引用返信は、相手の発言を引用した上に自分の返事を書きます。画面を読む方式では、引用の部分も本文として読めてしまいます。

これで、取引先の担当者の発言が、社長の発言として案件の総括に入ったことがあります。引用の部分に印を付け、AIに「印の付いた部分は引用」と渡すようにしました。印を付ける前の記録には、引用の混ざったものが残ります。そこは、AIに渡す決まりの側で守っています。

AIの選別が、先頭180字しか見ていませんでした

集めた連絡を全部そのまま案件の材料にすると、挨拶や定型の連絡で埋まります。AIが「案件に関わるか」を選別してから、記録に残します。

この選別に渡す本文を、先頭の180字で切っていました。日本語の連絡は、冒頭が挨拶とお礼とお詫びです。丁寧に書かれた依頼ほど、先頭180字が挨拶だけになり、案件に関わらないと判定されました。取引先からの正式な依頼が1件、材料から落ちていました。

悪かったのは、不採用の判定を永続化していたことです。一度落ちたものは、二度と材料に入りません。判定の間違いが、そのまま記録の欠落になります。切る長さを900字にし、落としたものを判定し直しました。18案件で186件を見直し、40件が戻りました。切る長さは「そこまでに判断材料が出そろうか」で決める。不採用の永続化は、判定の間違いを消せなくする。この2つを決めごとにしました。

「片付いた」は理由を取らず、取り消せます

AIの選別は「手が要る」までは判断できます。実際に返事をしたかは分かりません。返事をしても、相手が次に喋るまで「依頼が来ている」が一覧に残り続けます。消せない一覧は、そのうち見なくなります。

「片付いた」を押せるようにしました。決めごとは3つです。理由は取らない。押すのに一文書かせるのは「決めるだけでよい」に反します。取り消せる。押し間違いを取り返せないと、押すのをためらいます。押したのが人かAIかを残す。いまは人が押すだけですが、「返信済みを検知して自動で片付ける」は自然な次の一手で、そのときに区別が無いと後から分けられません。

何度押しても同じ結果になります。二度押しは失敗ではありません。通信が二重になっても、時刻が動いたりエラーになったりはしません。

情報源ごとの件数を、0件でも出します

全体を横断する「やりとり」の画面は、新しい順に並び、情報源の札で絞れます。札には件数が付き、0件の情報源も隠しません。0件が見えていれば、「今日はここから来ていない」と「ここは取り込めていない」を、記事4の見張りと突き合わせて判断できます。

本文は6行で切り、押すと全文が開きます。案件に結ばれていれば案件の札が出て、押せば案件ページへ飛びます。外部の3つのチャットの集まりからの新着は、部屋ごとに1通の通知になります。自分の発言と、つないだ直後の分は知らせません。

まとめ

  • 14の情報源を、誰が・いつ・どこで・何を、の4つにそろえて台帳に入れる
  • 口の無いチャットは画面を読む。形式が変わると止まるので、見張りと組にする
  • 部屋を案件に結ぶ。個人アドレスは自動で載らないと知っておく
  • AIの選別に渡す前に切り詰めない。不採用を永続化しない。「片付いた」は取り消せる

道具を4つ開いて思い出す時間は、案件ページを1つ開く時間になりました。開いた先には、どの道具から来たかも書いてあります。

自社の業務アプリの全体像は 特設ページ に。次の記事: 通知は「なぜ知らせているか」を一緒に出す

ABOUT ME
石井 亮介(りょうさん)
石井 亮介(りょうさん)
データパレード 代表取締役
㈱データパレードの代表取締役で、高田馬場の町中華「一番飯店」のChief Data Officerも務めています。BIツールのセールスエンジニア・システムエンジニア・カスタマーサクセス歴15年。大学のデータサイエンス教育で講師も担当してきました。現在は自社業務のほとんどをAIに移管し、AI10部署と50を超える自動処理が24時間動く「AI経営」を実践中。その実践知をこのブログで発信しています。
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