AI/DX活用

戻せない操作は、押す前に迷わせる

Ryosuke Ishii

この記事は、自社の業務アプリ DataParade Core の事例の一部です。全体は 特設ページ にまとめています。

この記事が満たす要求: 「押したものは戻せる」(特設ページ /00 の一覧)

業務アプリには、押すボタンがたくさんあります。既読、片付いた、消す、変える。押した結果が戻せないと、人は押す前に迷います。迷う操作は、そのうち使われなくなります。使われない操作の先には、溜まった一覧が残ります。

このアプリでは、押したものは戻せる、を全部の操作に通しました。何を戻せるようにし、戻せないものをどう扱ったかを書きます。

押したものは戻せる
押したものは戻せる

戻せないと、押されなくなる

通知の既読が戻せない道具では、押し間違えて消えた通知を探しに行くしかありません。すると、既読を押す前に一度読み直すようになります。読み直す手間が、既読を押さない理由になります。押されない通知は溜まり、溜まった一覧は見なくなります。

連絡の「片付いた」も同じです。押した結果が戻せないと、本当に片付いたかを確かめてから押すようになります。確かめる時間があるなら、押さずに済ませます。このアプリでは、既読も「片付いた」も、最初から戻せる作りにしました。

戻せる操作は、迷わず押せます。間違えたら、その場で戻せばよいからです。押すことが習慣になり、一覧はいつも「今のこと」だけになります。

全部の操作に通した

既読は未読に戻せます。「片付いた」は取り消せます。取り消すときも理由は取りません。押すのに一文書かせるのは「決めるだけでよい」に反します。「あとでやる」の印は、読んでも残ります。読んだ、はやった、ではないからです。

消すのは、ゴミ箱までです。完全に消す口は作っていません。戻せないからです。ゴミ箱に入れたものは、置き場の側からも、アプリからも戻せます。片道にしないためです。

案件の状態や金額を変えるときは、理由が必須です。これは戻すためではなく、あとから「なぜこうなっているか」を説明するためです。変更は履歴に残り、履歴から前の値が分かります。戻せる、と、なぜ変えたかが分かる、は対になっています。

戻せないものは、押させない

どうしても戻せない操作もあります。投稿の公開、メールの送付、お金の移動。これらは、アプリからは押せません。承認だけをアプリで受け取り、実際の実行は元の仕組みがやります。承認は「判断待ち」のものにしか効かず、二重に押しても何も起きません。

戻せない操作を戻せるように見せかけるより、アプリから押せないことを明らかにする方が、迷いは少なくなります。

二度押しは、失敗ではない

戻せる、と並んで決めたのが、何度押しても同じ結果になる、です。通信が二重になって同じ操作が2回届いても、2回目はエラーにしません。すでに片付いていれば時刻を動かさず、そのまま成功として返します。

二度押しをエラーにすると、画面には「失敗しました」が出ます。人は失敗と読み、もう一度押します。何も壊れていないのに、壊れたように見える。これも、押すのをためらわせる理由になります。

まとめ

  • 戻せない操作は、押す前に迷わせる。迷う操作は使われなくなり、一覧が溜まる
  • 既読・片付いた・あとでやる・消す・変える。全部の操作に「戻せる」を通す
  • 戻せないもの(公開・送付・お金)は、アプリから押させない。承認だけ受ける
  • 二度押しは失敗ではない。同じ結果を返す

押すのをためらわなくなってから、一覧が溜まらなくなりました。押し間違いは、戻せばよいだけです。

自社の業務アプリの全体像は 特設ページ に。次の記事: 気づいた日のうちに直して、翌朝には手元に届く

ABOUT ME
石井 亮介(りょうさん)
石井 亮介(りょうさん)
データパレード 代表取締役
㈱データパレードの代表取締役で、高田馬場の町中華「一番飯店」のChief Data Officerも務めています。BIツールのセールスエンジニア・システムエンジニア・カスタマーサクセス歴15年。大学のデータサイエンス教育で講師も担当してきました。現在は自社業務のほとんどをAIに移管し、AI10部署と50を超える自動処理が24時間動く「AI経営」を実践中。その実践知をこのブログで発信しています。
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