置き場が2つあると、いつか片方が片方を巻き戻す
この記事は、自社の業務アプリ DataParade Core の事例の一部です。全体は 特設ページ にまとめています。
この記事が満たす要求: 「正本は1つ。向きは一方通行」(特設ページ /00 の一覧)
台帳を新しい道具に移すとき、前の道具をしばらく残します。見慣れているから、念のため、他の人も見ているから。残した道具に書き戻す仕組みも作ります。両方が最新なら、どちらを見てもよいはずだからです。
これで、本番の記録が3日前に戻りました。何が起きたか、なぜ「正本は1つ」と決めたかを書きます。

向きが2つあった
新しい台帳ができたあと、前の台帳ツールとの間に、道が2本ありました。新しい台帳から前の台帳へ書き出す道と、前の台帳から新しい台帳へ取り込む道です。移行の途中は、どちらも要るように見えます。
ある朝、新しい台帳の案件の本文が、数日前の内容に戻っていました。前の台帳から取り込む道が、古い本文を持ってきて、新しい本文の上に書いたのです。取り込む側は「前の台帳の方が新しい」とは判断していません。取り込む決まりだったから、取り込んだだけです。
向きが2つあると、いつか片方が片方を巻き戻します。どちらが新しいかを毎回判定する仕組みを作ることもできますが、その判定が間違えたときに、また同じことが起きます。
正本を1つに決め、向きを1つにした
決めたのは2つです。正本は新しい台帳だけ。前の台帳へ書き戻す道は残し、前の台帳から取り込む道は塞ぐ。
書き戻す道を残したのは、前の台帳を「見る場所」として使う人がいたからです。ただし一方通行です。前の台帳で書き換えても、新しい台帳には戻りません。前の台帳に直接書くと、毎晩の見張りが「誰が、いつ」を突き止めて通知に出します。決めごとは、人の注意ではなく仕組みで守ります。
取り込む道は、プログラムの入口で塞ぎました。呼べば止まります。「使わない」と決めるだけでは、いつか誰かが使います。
読みに行くことも、止めた
正本を1つにしたあとも、AIは癖で前の台帳を読みに行きました。読んだ古い記録を材料にして、新しい台帳を書き換えることもありました。書き戻しを塞いでも、読んで写せば同じことです。
「読まない」と決めるだけでは守れませんでした。読みに行く道具そのものを、AIの入口で止めました。道具の名前を見て、呼び出しを断ります。前の台帳にしか無いものは、議事録の原本と一部の下書きだけになり、そこは例外として残しています。
番号も、合わせにいかない
正本が1つなら、番号を振るのも1か所です。案件の番号は新しい台帳が自分で振り、前の台帳の番号に合わせにいきません。合わせにいくと、前の台帳が正本の顔をします。
探すときは、番号でなく名前で探します。番号が無いことは「案件が無い」の証拠になりません。
まとめ
- 置き場が2つあると、いつか片方が片方を巻き戻す。実際に本番の記録が3日前に戻った
- 正本は1つ。書き戻しは一方通行、取り込みは入口で塞ぐ
- 「読まない」は決めごとでは守れない。読みに行く道具を止める
- 番号は正本が振る。前の道具の番号に合わせにいかない
置き場が1つになってから、「どちらが新しいか」を考えることがなくなりました。開いた台帳が、そのまま正本です。
自社の業務アプリの全体像は 特設ページ に。次の記事: 戻せない操作は、押す前に迷わせる

