会計の数字と、経営の着地は別に持つ
この記事は、自社の業務アプリ DataParade Core の事例の一部です。全体は 特設ページ にまとめています。
この記事が満たす要求: 「経営の数字は、会計の数字と別に持つ」 / 「数字より先に「信じてよいか」」(特設ページ /00 の一覧)
会計ソフトの数字は正しい。ただし、それは会計の数字であって、経営の数字ではありませんでした。税込で入っている。請求書を出した分と、これから出す分の区別がない。粗利が出ない。経営管理の画面を作りながら、会計の数字を1つずつ経営の数字に直していった話を書きます。

税抜に揃えます。ただし1.1で割りません
見積も契約も税抜で話します。会計は税込で記帳しています(税込経理)。この2つを1つの画面に並べると、税込と税抜が混ざります。経営の画面は税抜に揃えると決めました。
問題は直し方です。売上を1.1で割れば近い数字は出ます。実際、最初はそうしていました。ところが会計の取引には、1件ごとに消費税の額が入っています。税込の合計から税額の合計を引けば、税抜は正確に出ます。近似で済ませていた数字に、正確な出どころがあったわけです。
差は小さなものでした。それでも「近似」と画面に書き続ける必要がなくなります。数字を出す前に、台帳に正確な値が無いかを探す。この順番を決めごとにしました。
着地は「請求書を出せば売上」です
「今期の着地」を何で決めるかも、はっきり決める必要がありました。入金までを着地とするなら、期末に出した請求は来期に回ります。当社は売上計上の会社なので、請求書を出した時点で売上です。
つまり9月の着地は「9月中に出す請求書の合計」です。売れた実績、決まっている定期の請求、そしてこれから請求する案件。この3つを足したものが着地で、入金は別の画面(未入金)で追います。
この決めごとがあると、「今月の売上予定」がそのまま「今月出す請求書の一覧」になります。
進行中は、もう受注しています
着地の内訳を出したとき、「まだ受注していない商談」という行に、進行中の案件が入っていました。

商談の段階には、係数と2つの旗を持たせています。請求済みか(実績に入っているか)、受注済みか。進行中は受注済みで、まだ請求していないだけです。それを「まだ受注していない」に入れると、確度をかけて割り引くべきものと、もう決まっているものが混ざります。
内訳を4つに分けました。売れた実績、決まっている定期、受注済み・未請求、まだ受注していない商談。上の3つは相手も金額も決まっています。最後の1つだけが確度つきです。「仕上げれば届く」と言えるのは上の3つまでで、最後の1つは「取れたぶんだけ乗る」と書き分けています。
区分の言葉を画面に出す前に、段階のマスタの旗と突き合わせる。これも、直してから決めごとにしたことです。

粗利率が100%と出た朝
当社は人件費がかからず、外注費がかかります。だから粗利は「売上から外注費を引いたもの」で、粗利率が経営の主役になります。粗利率を画面に足しました。
翌朝、100%と出ていました。外注費が売上の半分以上ある期です。
原因は式でした。見込みの案件に入力した外注費(確度をかけたもの)は引いていたのに、会計に載っている外注費の実績を引いていませんでした。式だけを見て値を見ていなかった、という失敗です。率を出したら、その会社の実態と照らして桁が合うかを一度見る。これも決めごとに足しました。
粗利率は着地に対して出します。売上の着地から、外注費の実績と見込みの外注を引き、着地で割る。計算はデータベースのビュー1か所に置き、画面は結果を受け取るだけです。
今月の売上予定は、明細で見ます
着地の数字が合っていても、「今月、何を請求するのか」が見えないと動けません。今月の売上予定を明細で出しました。請求済みのもの、定期で今月請求するもの、受注済みで未請求のもの。1行ずつ案件番号が付いていて、押すとその案件へ飛びます。
受注予定日を過ぎた案件は赤字で出ます。「日付を直すか、請求を出すか」のどちらかをしてください、と画面が言います。台帳の段階を勝手に動かすことはしません。動かすのは社長で、画面はずれを知らせるだけです。
着地の内訳も同じで、4つの行を押すとそれぞれの明細が開きます。実績は会計の取引の1件ずつ、定期は月ごとの契約、受注済みは案件、商談は案件と段階。合計と明細が一致することは、毎晩のE2Eテストで確かめています。


同じ数字を2か所で出すなら、一致を確かめます
経営の数字は、アプリのほかに、毎朝6時に自動で作り直す経営ダッシュボードにも出ています。同じ「着地」が2か所にあると、片方だけ直して終わる日が来ます。
まず、内訳の考え方をダッシュボード側にも揃えました。受注済み・未請求とまだ受注していない商談を分け、粗利率を足し、今月の売上予定を載せる。そのうえで、正本(データベースのビュー)の数字をダッシュボードにも渡し、ダッシュボードが自分で計算した着地と正本の着地がずれたら、金額より先に「ずれています」を赤で出すようにしました。
作ったら、わざとずらして確かめます。正本の数字を少し変えた写しでダッシュボードを描き、赤い帯が出ることを見てから、元に戻しました。ずれたときに鳴らない検査は、無いのと同じです。
まとめ
- 税抜は1.1で割らず、取引ごとの税額から出す。近似の前に正確な出どころを探す
- 着地は「請求書を出せば売上」。今月の売上予定は、今月出す請求書の一覧
- 進行中は受注済み。確度をかけるのは、まだ受注していない商談だけ
- 率を出したら実態と照らす。同じ数字を2か所で出すなら、正本を渡して一致を確かめる
会計の数字をそのまま使っていた頃は、数字が合っているかどうかを人が確かめていました。いまは、ずれたら画面が先に言います。
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