AI/DX活用

通知は「なぜ知らせているか」を一緒に出す

Ryosuke Ishii

この記事は、自社の業務アプリ DataParade Core の事例の一部です。全体は 特設ページ にまとめています。

この記事が満たす要求: 「判断が要るときだけ鳴る」 / 「押したものは戻せる」(特設ページ /00 の一覧)

通知は、多いと見なくなり、少ないと見逃します。どちらも「鳴らす側の都合」で決めた結果です。

このアプリの通知は、鳴らす理由を1件ずつ添えます。手が要るのか、見ておくだけでよいのか。すぐ鳴らすのか、朝夕にまとめるのか。そして、通知に対してその場で答えられます。

通知をどう出すかは、このアプリでいちばん大事な決めごとの1つです。1日に来るやりとりと判断は多く、その全部を同じ強さで知らせると、判断に使う頭を通知を読むことに使ってしまいます。人の判断が要るところだけ鳴らし、AIが自動でやったことは、あとで読める程度に残す。何を分け、何を表に持たせ、何を戻せるようにしたかを書きます。

通知(ダミー)
通知(ダミー)

報告・連絡・相談を、通知の強さで分けます

通知の強さは3段です。鳴らす、まとめる、残すだけ。人の判断が要るもの(相談)は、その場で鳴らします。見ておけばよい連絡は、朝夕のまとめ便に載せます。AIが自動でやったこと(報告)は、鳴らさず、あとで読める形で残します。

報告・連絡・相談を通知の強さで分ける
報告・連絡・相談を通知の強さで分ける

「残すだけ」を消さないのは、全部を任せきると不安が残るからです。AIが夜に案件を書き直した、取り込みが動いた、下書きを作った。読まなくても困らないが、読めば何をしたかが分かる。その程度の通知に落として、消しません。

こう分けてから、通知を読む時間が判断の時間を削ることがなくなりました。鳴ったら判断が要る。鳴らなければ、動いています。

「手が要る」「見ておくだけ」「あとでやる」

通知には種類が3つあります。手が要るもの、見ておくだけでよいもの、あとでやると印を付けたもの。一覧は既定で未読だけを出し、「手が要る」だけに絞れます。

「なぜ知らせているか」は、1件ずつ本文に書いてあります。「黙っていると現場の解釈で進んでしまうため知らせる」「先方が今週の会議で使うため、期日がある」。件名だけの通知は、開いてから理由を探すことになります。理由が先にあれば、開くか後回しにするかがその場で決まります。

通知の「手が要る」だけの絞り込み(ダミー)
通知の「手が要る」だけの絞り込み(ダミー)

「あとでやる」の印は、既読とは別のものです。読んでも印は残ります。読んだ、はやった、ではないからです。印は人ごとにサーバーが覚えます。iPhoneで付けた印が、iPadでも見えます。

鳴らし方は、表が持ちます

通知の種類は14あります。種類ごとに「すぐ鳴らす」「朝夕にまとめる」「鳴らさない」を決められ、Slackの部屋へも流せます。

この決め方は、台帳の表が持っています。画面にも、サーバーのプログラムにも、種類の名前は書いてありません。気が変わったら、表の1行を書き換えるだけです。Slackの部屋の選択肢も表から出します。部屋の名前を画面に書き写すと、部屋が増えたときにアプリを配り直すことになります。

「朝夕にまとめる」と決めた種類は、まとめ便が出るまで未読に立てません。まとめると決めたものが、届いた瞬間に未読の数を増やすのは、まとめていないのと同じです。

まとめ便そのものの種類は、「まとめる」を選べないようにしてあります。まとめ便をまとめ側に落とすと、自分で自分を送信済みにして、1通も届かなくなります。これは実際に踏みました。

設定の画面を、通知が占領していました

鳴らし方の設定は、はじめ設定画面のいちばん上に置いていました。種類が14あるので、3択のボタンが42個並びます。設定を開くと通知だけで画面が埋まり、文字の大きさもログアウトも、ずっと下に押し出されていました。

設定は「探す場所」です。探す場所を1つの項目が占領してはいけません。鳴らし方は1枚の画面に分けました。種類ごとに「どれくらい来ているか」の件数を添えています。数を見ないと、鳴らすか束ねるかは決められません。

既読は戻せます。読んだ、はやった、ではありません

既読は元に戻せます。押し間違いで消えると、探しに行くことになるからです。「片付いた」と同じ考え方です。

未読の数は、5分おきにアプリが聞きに来ます。一覧を毎回引くと、通知が溜まるほど重くなります。数だけを返す軽い口を、一覧とは別に作りました。

一覧を消すときは、「今見えているものだけ」を消せます。全部消すしか無いと、下に積まれた未読も一緒に消えて、見落としになります。

既読1件ごとに、全端末へ通知が飛んでいました

未読の数が変わると、アプリのアイコンの数字を全端末で更新します。そのために、サーバーは既読のたびに「数字だけの通知」を送っていました。

束ねた通知を開くと、中の件数ぶんアプリが1件ずつ既読を送り、そのたびに全端末へ通知が飛びました。10件束ねた通知を開くと、10回です。まとめて既読にする口を作り、アプリは1回だけ呼ぶようにしました。通知を送るのは、未読の数が実際に変わったときだけです。

この口には、番号の検査も入れました。0や負の数や桁あふれを先に落とします。素通しすると、台帳が受け取れない数が来たときに、日本語で断る前に落ちます。

通知に、その場で答えます

「名簿に無い場所が見つかった。ここはどこ?」のように、問いかける通知があります。以前は、通知を見て、別の道具を開いて、名簿に書き足す、でした。

問いかける通知には、画面に答える口が出ます。答えはサーバーに積まれ、消しません。5分ごとの処理が答えを拾い、実際の名簿に反映して、反映した時刻か失敗の理由を残します。反映先が社長のMacの中にあるものは、サーバーからは触らず、Mac側の道具が反映します。

答える口は、画面、通信の窓口、経路、サーバーの4つが揃って初めて動きます。1つ書き忘れると「送れませんでした」としか出ません。4つが揃っているかは、静的チェックが見張っています。

通知から、案件の中で対応します

通知をタップすると案件ページが開き、先頭に「この通知に対応する」欄が出ます。通知の中身と、対応のボタン。通知を見て、案件を開いて、対応を押す、を1画面で済ませます。

「手が要る連絡」の通知には、その連絡がもう片付いているかも一緒に出ます。片付けの印は台帳に前からありましたが、通知の画面からは押せず、片付いているかも見えませんでした。通知の中に連絡の番号が入っているので、それで結びました。

届かなかった通知を隠しません

通知そのものは、Macの側が作ってAppleへ送ります。アプリがやるのは「見る」ぶんだけです。並べる、数える、読んだ印を付ける。

送ったのに届かなかった通知は、隠さず一覧に出します。「鳴らしたつもり」がいちばん危ないからです。定期の処理が止まったときの通知は、1つの処理につき1日1回だけです。同じ通知が毎回来ると、読まれなくなります。

外部の3つのチャットの集まりも、新着を部屋ごとに1通の通知にして、ここに集めました。チャット側の通知は全部切ってあります。知らせが来る場所は1つです。

まとめ

  • 報告・連絡・相談を通知の強さで分ける。判断が要るときだけ鳴らし、AIがやったことは残すだけ
  • 通知は「手が要る」「見ておくだけ」「あとでやる」に分け、理由を1件ずつ添える
  • 鳴らし方は表が持つ。まとめると決めたものは、まとめ便まで未読に立てない
  • 既読は戻せる。まとめて既読にし、数が変わったときだけ端末へ送る
  • 問いかける通知には、その場で答える。通知からは案件の中で対応する

通知の数を減らす、ではなく、理由の無い通知を無くす。そうしてから、通知を見なくなることがなくなりました。

自社の業務アプリの全体像は 特設ページ に。次の記事: Slack の 👍 を、アプリの承認に移す

ABOUT ME
石井 亮介(りょうさん)
石井 亮介(りょうさん)
データパレード 代表取締役
㈱データパレードの代表取締役で、高田馬場の町中華「一番飯店」のChief Data Officerも務めています。BIツールのセールスエンジニア・システムエンジニア・カスタマーサクセス歴15年。大学のデータサイエンス教育で講師も担当してきました。現在は自社業務のほとんどをAIに移管し、AI10部署と50を超える自動処理が24時間動く「AI経営」を実践中。その実践知をこのブログで発信しています。
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