AI/DX活用

案件の1枚は、毎晩AIが書き直す

Ryosuke Ishii

この記事は、自社の業務アプリ DataParade Core の事例の一部です。全体は 特設ページ にまとめています。

この記事が満たす要求: 「入力しなくても、台帳が最新である」(特設ページ /00 の一覧)

案件管理ツールの案件ページは、たいてい空欄が多いままです。作った日の情報が残り、その後の動きは書かれません。書く人がいないからです。

いまの案件ページは、人が書きません。打ち合わせの記録、メール、チャット、会計から、AIが毎晩1枚に書き直します。人が触るのは「ひとこと」の欄だけです。何を1枚に載せ、何を人に残したかを書きます。

案件ページ(ダミー)
案件ページ(ダミー)

上から「次にやること」「いまの状況」「基本情報」

案件ページの並びは、知りたい順です。いちばん上は「次にやること」。いま何で止まっているかが、1行で出ます。その下が「いまの状況」。いつ何があったかを、AIが毎晩書き直します。基本情報(取引先・状態・金額・受注予定日)はその下です。

最初は基本情報が上でした。台帳ツールの案件ページがその形だったからです。使ってみると、開くたびに金額を読んでから下へ送る、が続きました。打ち合わせの前に知りたいのは金額ではなく、前回どこまで話したか、です。

「いまの状況」には、AIがまとめた文章と、その材料になった記録の両方が出ます。文章が来たら、同じことを言っている生の列は引っ込めます。逆に、お金や書類やこれまでの動きは、文章が来ても消しません。数字と現物は、文章の代わりになりません。

案件ごとに、積む塊を変えます

案件には、共通の見せ方と、その案件だけの見せ方があります。開発の案件なら課題の一覧、定例のある案件なら次回の議題、パススルーの案件なら見積の状態。全部の案件に同じ画面を出すと、要らない塊が場所を取ります。

積む塊は案件ごとにサーバーが決める
積む塊は案件ごとにサーバーが決める

どの塊をどの順に積むかは、サーバーが案件ごとに返します。画面はその指示どおりに積むだけです。画面の中に「この案件のときはこう」という分岐は書きません。案件ごとに画面を作り分けると、案件の数だけ画面を保守することになります。塊の足し引きは、台帳の表の1行です。

知らない種類の塊が来ても、画面は落ちません。見出しだけを出します。種類はこれからも増えるので、増えるたびにアプリを配り直す作りにはしていません。

量が多くて毎回は読まないもの(AIとの作業の記録、関わりのある案件)は、はじめから畳んであります。打ち合わせと書類は、開いた瞬間に見たいものなので畳みません。

人が書くのは「ひとこと」だけです

案件ページに、人が入力する欄は1つです。「ひとこと」。打ち合わせで決まったこと、電話で聞いたこと、気になっていること。一文でよく、形式もありません。

書いたひとことは、翌朝の「いまの状況」に反映されます。AIが夜に案件を書き直すとき、ひとことを材料に入れるからです。ひとことが片付いていれば「片付いた」の印が付き、残っていれば「ひとことが残っています」と出ます。

理由をこうしたのは、人が入力する欄を増やすほど、入力されなくなるからです。案件名、金額、進み具合、次の一手。これらを人が打つ画面は、最初の週は埋まり、翌月には止まります。材料はメールとチャットと議事録の中にすでにあります。人が足すのは、そこに無いことだけでよい、と決めました。

案件のこれまでの動き(ダミー)
案件のこれまでの動き(ダミー)

元のやりとりへ戻れる範囲を、正直に分けます

「これまでの動き」の1件ごとに、元のやりとりへ戻るリンクがあります。タップすると、そのチャットの部屋、そのメールの検索結果に飛びます。

ただし、発言そのものには飛べません。やりとりは日次の記録から作っていて、発言1件ごとの番号を持っていないからです。出せるのは「その部屋」「そのメールの検索結果」までです。どこまで戻れるかは情報源ごとに違います。課題管理ツールはコメント1件まで、社内チャットは部屋まで、メールは件名の検索結果まで。

リンクを作れない情報源は、何も出しません。押せそうに見えて何も起きないほうが、無いより悪いからです。一度、部屋の名前からリンクを組み立てて出したことがあります。その道具は数字の部屋番号を求めるので、名前を入れたリンクはどこにも行きませんでした。番号が分かる部屋だけ出す、に直しました。

数字は案件から集め、会社には入れません

取引先のページには、その会社の満額(受注見込の合計)と着地(確度をかけたもの)が出ます。この数字は、案件から集計したものです。会社側に手で入れる欄はありません。

同じ意味の値が2か所にできると、必ずずれます。案件の金額を直したのに会社の金額が古いまま、が起きます。会社の数字は案件の合計、と決めておけば、直す場所は1つです。

受注予定日も案件が持ちます。予定日を過ぎた案件は、経営管理の画面で赤字になります。「日付を直すか、請求を出すか」のどちらかをしてください、と画面が言います。段階を勝手に動かすことはしません。

関わりのある案件は、なぜ出ているかを添えます

案件ページの下に、関わりのある案件が並びます。親、子、同じ親を持つもの、同じ取引先のもの。ただ並べると「なぜここに出ているのか」が分かりません。どういう関わりかを付けて、親→子→同じ親→同じ取引先の順に出します。

親のある案件は、親の名前が案件名の上に出ます。親と取引先が食い違っていれば「要確認」が出ます。構造の画面で親を変えられますが、変えた理由は残ります。

案件の番号は、台帳が空き番号から配ります。試験が作って消した番号も、次の案件が使います。番号が飛ぶと「消した案件があった」と読まれるので、飛ばさない作りにしました。使っていない案件の片付けは、一覧を出して承認を待つ形です。

変更には理由を残します

案件の状態や金額を変えるとき、理由が必須です。理由が無い変更は、APIが受け取りません。人からでもAIからでも同じです。

理由は案件のページに「最後に変えたこと」として残り、変更の記録は既定で3件、開けば全部出ます。台帳のほとんどはAIが書き換えるので、理由が無いと「なぜこうなっているのか」を誰も説明できません。

通知から案件ページを開いたときは、先頭に「この通知に対応する」欄が出ます。通知を見て、案件を開いて、対応を押す。この3手を、開いた画面の中で済ませます。タブを往復すると、途中で別のことを始めます。

まとめ

  • 案件ページは「次にやること」「いまの状況」「基本情報」の順。知りたい順に積む
  • 積む塊は案件ごとにサーバーが決める。画面に案件ごとの分岐を書かない
  • 人が書くのは「ひとこと」だけ。翌朝、AIが状況に織り込む
  • 元へ戻れる範囲は情報源ごとに違う。戻れないものにリンクを出さない

案件ページを人が書かなくなってから、案件ページが古くならなくなりました。打ち合わせの前に開けば、前回どこまで話したかが、その日の朝の版で出ています。

自社の業務アプリの全体像は 特設ページ に。次の記事: フォルダを覚えなくても、書類は1つの欄で出る

ABOUT ME
石井 亮介(りょうさん)
石井 亮介(りょうさん)
データパレード 代表取締役
㈱データパレードの代表取締役で、高田馬場の町中華「一番飯店」のChief Data Officerも務めています。BIツールのセールスエンジニア・システムエンジニア・カスタマーサクセス歴15年。大学のデータサイエンス教育で講師も担当してきました。現在は自社業務のほとんどをAIに移管し、AI10部署と50を超える自動処理が24時間動く「AI経営」を実践中。その実践知をこのブログで発信しています。
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