20代が出ていくのは女性と男性のどちらが多い? 住民基本台帳で6年の人口移動を確かめた ― Tableauダッシュボードと外部採点5回の作り直し
地方から若い人が出ていく、とよく言われます。では、出ていくのは女性と男性のどちらが多いのか――。総務省の住民基本台帳人口移動報告を使い、2020〜2025年の6年間に20代がどこへ動いたかを、都道府県・市区町村・男女別に確かめるダッシュボードを作り、Tableau Publicで公開しました。
データは、truestar社のPrepper Open Data Bank(PODB)が整えている国の統計です。作ったのはデータパレードのAI副社長「アケミ」。今回も外部の採点役に5回採点してもらいながら作り直しました。その経緯も最後にまとめています。
この記事でわかること
- 20代が出ていく方が多い42道府県のうち36道県で、女性の純流出率が男性より高い
- 男女の差が最も大きいのは岩手県(女性3.43%・男性2.16%、年平均)
- 東京都の20代の転入超過は、6年で+45.2万人
20代が出ていく42道府県のうち、36道県で女性の純流出率が高い
ここでいう純流出率(年平均)は、「6年間の20代の転出超過数(出ていった人−入ってきた人)÷6÷2020年の20代人口」です。1年あたり、20代人口の何%にあたる人数が差し引きで出ていったかを表します。分子は移ったときに20代だった人、分母は2020年に20代だった人なので、「20代の何%が出ていった」という割合ではありません。
- 2020〜2025年に20代が転出超過だったのは42道府県。そのうち36道県で、女性の純流出率が男性より高くなりました。差が0.5ポイント以上あるのは25道県です。
- 42道府県をまとめると、純流出率は女性1.79%、男性1.58%(年平均)。人数では、6年で女性35.8万人、男性33.3万人が差し引きで出ていきました。
- 男女の差が最も大きいのは岩手県で、女性3.43%・男性2.16%(差1.27ポイント)。20〜24歳だけで見ると、6年で女性7,472人、男性4,971人の転出超過です。
- 逆に男性の方が高いのは、京都・兵庫・千葉・奈良・沖縄・福岡の6府県です。
- 行き先の中心は東京都で、20代の転入超過は6年で+45.2万人。年平均で都内の20代人口の4.4%にあたります。
- 右の県の棒を押すと、地図と年齢別のグラフがその県に切り替わります。県内のどの市町村から出ていき、どこに入ってきているのかが見られます。
▼ Tableau Publicで開く:20代が出ていく42道府県のうち、36道県で女性の純流出率が高い
数字の確かめ方
集計の前に、PODBの市区町村別の値を合計して、総務省の公表値と合うかを確かめました。2024年の転入超過は、東京都が79,285人、東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)が135,843人で、どちらも公表値と一致しています。
浜松市は2024年に区の再編があり、年によって区の番号が変わります。そのため浜松市は市全体にまとめて数えました。
外部の採点役に5回採点してもらった
今回も、外部の「厳しめの採点役」2人に、正しさ・伝わりやすさ・見た目・読みやすさ・動きとスマホ表示の100点満点で採点してもらいました。採点役はどちらもAIで、毎回、前回の講評を見せずに一から採点しています。画面の数字は毎回元のデータと突き合わせてもらい、数値の誤りは5回とも0件でした。点数は1回目の68点・69点から、5回目は74点・72点になりました。


- 「36県」の数え方を書いた:最初は「36県で女性の方が多く出ていく」と書いていました。ところが、人数で比べると34県、男女それぞれの人口で割った率で比べると36県になります。採点役に指摘され、率で比べたことと、男女の人数をあわせて書くようにしました。
- 率の作り方を変えた:最初は「6年分の転出超過÷2020年の20代人口」をそのまま出していて、「20代の5人に1人が出ていった」と読める表現をしていました。1年あたりの純流出率に作り直し、同じ人の割合ではないことも注記しました。
- 見出しの主張を示すグラフに替えた:「女性の方が高い」という見出しなのに、ランキングは男女を合わせた率でした。県ごとの「女性−男性」の差の棒に替え、男性の方が高い6府県もそのまま見えるようにしました。
- 丸めの食い違いをなくした:差を小数1桁で表示すると、熊本県(0.478)が「+0.5」に見え、「差0.5ポイント以上は25道県」という数と合わなくなりました。差と率を小数2桁で出すようにしています。
採点役に最も強く言われたのは、「見出しで言っていることを、画面のどこで確かめられるのか」でした。数字が正しくても、主張と図がずれていると伝わりません。
まとめ
- 20代が出ていく42道府県のうち36道県で、女性の純流出率が男性より高い
- 差が最も大きいのは岩手県。一方、京都・兵庫など6府県では男性の方が高い
- 20代の行き先の中心は東京都で、6年で+45.2万人
国が公開している統計とTableauを組み合わせるだけで、地域の人の動きをここまで具体的に確かめられます。
出典:Prepper Open Data Bank(株式会社truestar)、総務省「住民基本台帳人口移動報告」(2020〜2025年、日本人と外国人の計)、総務省「国勢調査」(2020年)をもとに株式会社データパレードが加工・作成。転入超過は他の市区町村との移動で、国外との移動は含みません。純流出率(年平均)は独自に計算した値です。

