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AIでTableauのダッシュボードを作る5つの手順|ベストプラクティス

AIでTableauのダッシュボードを作る5つの手順
Ryosuke Ishii
図0:AIでTableauのダッシュボードを作る5つの手順
図0:AIでTableauのダッシュボードを作る5つの手順

弊社のAI副社長「アケミ」(Claude)に、国の統計から Tableau のダッシュボードを作って Tableau Public に公開してもらう取り組みを続けています。10本ほど作る中で、いちばん精度が上がった進め方が見えてきました。この記事では、その手順と、作りながら分かった「AIにダッシュボードを作らせるときの落とし穴」をまとめます。

結論

  • 手順は5つです。①AIがデータを確かめ、国の公表値と照合する ②見出しで言う結論を人とAIで決める ③AIがワークブック(.twb)をスクリプトで書く ④公開して、PCの幅とスマホの幅で撮る ⑤作り手を伏せた別のAI 2人に採点させ、直す点を決める
  • AIの自己採点は当てになりません。自分で88〜90点と付けた6本を、作り手を伏せた2人に採点させたら59〜76点でした。採点は必ず別のAIにさせます
  • 直しても点は80点前後で頭打ちになりやすく、5回目あたりから指摘の向きが回ごとに変わります。数字の誤りがなくなった時点で止めるのが、手間と出来の釣り合いがよい止め時でした

この記事は、弊社が自社の環境で試した記録です。Tableau の開発元が出している公式の手順ではありません。データは truestar社の Prepper Open Data Bank(PODB)が整えている国の公開統計だけを使い、お客様のデータは使っていません。

作ったダッシュボード

この手順で作り、記事にしたダッシュボードは次のとおりです。どれも国の統計を都道府県・市区町村ごとに見るもので、県の棒を押すと地図などがその県に切り替わる作りにしています。

図1:この手順で作ったダッシュボードの例(子が0〜2歳の妻の就業)
図1:この手順で作ったダッシュボードの例(子が0〜2歳の妻の就業)

5つの手順の全体像

手順誰がやることできあがるもの
① データを確かめるAIデータを読み、癖を調べ、国の公表値と照合する照合済みの集計データ
② 結論を決める人とAI見出しで何を言うかを決める。言えないことは言わない見出しとKPIの文
③ .twb を書くAI型の決まったワークブックを生成スクリプトで書き、公式の XSD で検査するTableau で開けるワークブック
④ 公開して撮るAITableau Public に公開し、幅1000とスマホ幅390で撮る公開版の画像
⑤ 伏せた採点で直す別のAI 2人、人作り手を伏せて採点させ、直す点を決める。止め時は人が決める直す点の一覧

AI が Tableau の画面を操作するのは、抽出を作って公開する最後の数クリックだけです。ダッシュボードの中身(データの接続、計算、グラフ、配置、スマホ版)は、AI が Tableau のファイル(.twb の XML)を直接書いて作ります。

手順1 AIがデータを確かめ、国の公表値と照合する

最初に、AI がデータベース(Snowflake 上の PODB)を読み取り専用で読み、集計してから、まったく別の出どころの数字と照合します。自分の SQL を2通り書いて一致しても、元の表がずれていれば両方ずれるからです。

この段階で見つかった癖の例です。どれも、そのまま画面にしていたら間違った結論になっていました。

  • 政令市を二重に数える:市区町村の表には「市全体」と「区」の両方の行があります。足すと政令市が2回数えられます
  • 年によって数え方が違う:65歳以上の人口を2015年と2020年で比べたら、2020年だけ「年齢不詳を補った値」が混ざっていました。そろえると伸び率は+7.7%ではなく+5.6%でした
  • 区の再編:浜松市は2024年に区が変わり、年によって区の番号が違います。市全体にまとめました
  • 県によって抜けている印:病院のデータの「救急告示」の印は、県によって0件でした。そのまま使うと「徳島・香川は100%遠い」という誤った絵になります

照合に使ったのは、総務省・厚生労働省の公表値や、自治体が出している同じ表です。たとえば国勢調査の一般世帯数(2020年 55,704,949世帯)や、小田原市が公開している就業状態の表とは、1の位まで一致することを確かめてから先に進みました。

手順2 見出しで言う結論を、人とAIで決める

次に、ダッシュボードの見出しで何を言うかを決めます。採点でいちばん点を落としたのは、見出しの主張と、画面のグラフがずれているときでした。

  • 「女性の方が多く出ていく」という見出しなのに、ランキングは男女を合わせた率だった → 「女性−男性」の差の棒に替えた
  • 「36県で女性の方が多い」は、率で比べると36県、人数で比べると34県 → どちらで比べたかを同じカードに書いた
  • 「57%が働く」の「働く」には、育児休業で休んでいる人も入る → 「仕事を持つ(育休中を含む)」と書き改めた

人が決めるのは「誰に、何を伝えたいか」です。AI は手順1の気づきをもとに「この言い方だと誤解される」「この数え方だと順位が入れ替わる」と案を出し、人が選びます。

手順3 AIが .twb をスクリプトで書く

Tableau のワークブック(.twb)は XML のファイルです。AI はこれを Python のスクリプトで丸ごと生成します。直すときも XML を手で触らず、スクリプトを直して作り直します。そのほうが速く、同じ型を次のお題に使い回せます。

型として固めた部品は次のとおりです。

  • 結論を書いた見出しの帯と、主役の数字を大きく出す KPI のカード3枚
  • 47都道府県のランキング。棒を押すとパラメーターが変わり、地図ともう1つのグラフがその県に切り替わる
  • 市区町村の地図(背景地図の地名を消し、パン・ズームを止める)
  • 日本語の文で読めるツールチップ
  • 手書きのスマホ版(自動で作らせると、見出しの背景色が消えて白い文字が見えなくなるため)
  • 出典・時点・加工内容・作成者を書いたフッター

Tableau が読み込むときの細かい決まり(要素の書く順、ツールチップの項目名の書き方、地図を出すのに必要な3か所の設定など)は、つまずくたびに社内のノウハウ集に書き足しています。2本目以降は、この型とノウハウ集のおかげで、生成したファイルが1回目から Tableau で開けるようになりました。

書いたファイルは、Tableau 公式の XSD で検査します。Tableau は .twb の構造の決まりを XSD(XML の決まりを書いたファイル)として GitHub で公開しています。生成スクリプトの最後でこの XSD に照らし、決まりから外れていれば Tableau で開く前に止めます。

  • 捕まえられた例:全国の値の線(基準線)を、グラフの設定より前に書いてしまい、Tableau で開けなかったことがありました。この書き方は XSD の検査で「ここには置けない」と出ます
  • 捕まえられない例:XSD は構造だけを見るので、計算式の中身や項目名の書き方の誤り(例:ツールチップの項目の書き方)は通ってしまいます。公式の説明にも「検査を通っても開けるとは限らない」とあります。最後は Tableau で開いて確かめます
  • Tableau 自身が保存したファイルでも出る違反があります(必須の要素がない、など)。開けることは確かめてあるので、検査では「参考」として分けて出しています

最初の数本はこの XSD を見ずに、Tableau が保存したファイルを手本に書いていました。後から検査にかけると、その頃のファイルには、Tableau は開けるものの決まりからは外れた書き方が残っていました。これから .twb を AI に書かせるなら、最初から公式の XSD を渡しておくのがおすすめです。

手順4 公開して、PCの幅とスマホの幅で撮る

Tableau Desktop で抽出を作って公開するところだけは、AI がパソコンの画面を操作して行います。公開したら、見え方を2つの幅で撮ります。

  • PC(幅1000):Tableau Public は公開版を画像で返す URL を持っています。Desktop の画面(幅1920相当)では出ない、見出しの折り返しや数字の重なりが見えます
  • スマホ(幅390):ブラウザの幅を390にして、公開版のスマホ表示を上から順に撮ります

撮り方そのものが点数に響いたこともありました。撮影の枠の都合で右端が切れた画像を渡したら、採点役が「見切れ」として減点しました。実際の幅で撮り直したら、その減点はなくなりました。

公開のたびに、ダウンロードの許可をオフにし、説明文に出典と #PODB を入れます。上書き公開すると説明文が消えることがあるので、毎回 Tableau Public の API で確かめています。

手順5 作り手を伏せた別のAI 2人に採点させる

最後に、作り手を伏せて別のAI 2人に採点させます。渡すのは、公開版の画像(PCとスマホ)と、画面のもとになった CSV と、採点表です。採点表は100点満点で、正しさ25・伝わる25・見た目20・読みやすさ15・動きと端末15の配分にしています。採点役には、画面の数字を CSV から計算し直して照合させます。

AIの自己採点は当てになりません。第1弾のとき、アケミが自分で88〜90点と付けた6本を、作り手を伏せた2人に採点させたら59〜76点でした。それ以来、自己採点はやめています。

伏せた採点役は、作り手が見落とした数字の誤りも見つけます。

  • 二重の丸め:56.749…%をいったん56.75%に丸め、もう一度丸めて「56.8%」と出していた(正しくは56.7%)
  • 境目の丸め:「全国の伸び(13.312%)より速いか」を13.3%に丸めて判定し、3町を誤って「速い」に入れていた
  • 表示の丸めと数の食い違い:差を小数1桁で出したら「0.478」が「+0.5」に見え、「0.5ポイント以上は25県」という文と合わなくなった → 小数2桁にした
図2:作り手を伏せた外部採点の推移(2人の平均)
図2:作り手を伏せた外部採点の推移(2人の平均)

この手順の結果

お題1回目最後採点の回数数字の誤り
地価・空き家・2050年人口(第1弾)62.5〜75最高89(2050年人口)10回途中で解消
20代の人口移動68・6974・725回0件
65歳以上のひとり暮らし78・7782・806回0件
子が0〜2歳の妻の就業75・7080・695回0件

点数は2人の採点役それぞれの点です。お題ごとに中身が違うため、お題どうしの比較には向きません。合格の目安は85点に置いていますが、2人の平均で届いたのは第1弾の2050年人口(85.5点)など一部だけでした。

点が上がった直しは、どのお題でも似ていました。

  • 1つの色に1つの意味:「上昇」の赤と「商業地」の赤、「選んでいる県」の色と「地図の区分」の色を同じにしない
  • 数字の横に比較を置く:全国の値、全国との差(pt)、何と比べて多いのか
  • 定義と除いたものを画面に書く:「育休中を含む」「不詳を除く」。不詳を含めると順位が入れ替わる県には印を付けた
  • 地図の色は、見せたい違いが見える基準で塗る:全国と比べた色では島根県が全部同じ色になったため、その県の平均と比べた色に変えた

止め時は人が決める

直しては採点、を繰り返すと、4〜5回目あたりから点が80点前後で止まり、指摘の向きが回ごとに変わるようになります。たとえば地図の色は、「全国と比べた色だと県の中が1色になる」と言われて県の平均と比べた色に変えたら、次の回は「ランキングと基準がそろっていない」と言われました。橙を使いすぎと言われて分けたら、次は「橙にそろえて」と言われたこともあります。

この段階の指摘は、好みの差に近くなっています。弊社では、2人とも数字の食い違いが0件で、見出しの主張がデータで言えると判断された時点を止め時にしています。最後の判断は、点数ではなく人が行います。

人がすること、AIに任せること

人がすることAIに任せること
お題(何を調べるか)を決めるデータを読み、癖を調べ、公表値と照合する
見出しで言う結論を選ぶ.twb を生成し、Tableau で開いて公開する
Tableau Public・ブログへのサインイン(パスワードは AI に渡さない)PC とスマホの幅で撮る
止め時を決める別のAIに採点させ、直す点をまとめて直す
公開してよいかを決める記事の下書きを書く

うまくいかないこと

  • 動きは画像では採点できない:ツールチップや、県を押したときの切り替わりは、採点役に画像しか渡していないため確かめられていません。採点役も「控えめに付けた」と書いています
  • 公表値が取りにくい表がある:e-Stat の表の中には、画面からは数値を取り出しにくいものがあります。自治体が公開している同じ表(PDF)から取り出して照合しました
  • メモリが足りなくなる:メモリ8GBのパソコンでは、Tableau の窓を開いたままにすると作業ごと落ちました。1本公開するごとに Tableau を閉じています

まとめ|AIにTableauを作らせるなら、照合と伏せた採点を

  • AI に .twb を直接書かせると、画面操作なしでダッシュボードを作れる。型をスクリプトにしておくと、次のお題に使い回せる
  • 数字は、別の出どころ(国の公表値・自治体の表)と照合してから画面にする
  • 採点は、作り手を伏せた別のAIにさせる。自己採点は10〜30点甘い
  • 点は80点前後で頭打ちになりやすい。数字の誤りがなくなったら、人が止め時を決める

よくある質問(FAQ)

Q. Tableau の画面を AI が操作して作るのではないのですか?
A. 作るのは .twb のファイルを書くことで行い、画面の操作は抽出の作成と公開だけです。画面をドラッグで組み立てるより、ファイルを書くほうが速く、同じ型を何度でも作り直せました。

Q. 採点役は人ではないのですか?
A. 採点役はどちらも AI(Claude の別のモデル2つ)です。毎回、前回の講評を見せずに一から採点させています。人は最後に記事と画面を読んで、公開してよいかを決めています。

Q. 社内のデータでも同じように作れますか?
A. 作り方は同じです。ただし Tableau Public は誰でも見られる場所なので、社内やお客様のデータは Tableau Cloud など公開されない場所に出します。弊社でもそう分けています。

参考リンク

ABOUT ME
石井 亮介(りょうさん)
石井 亮介(りょうさん)
データパレード 代表取締役
㈱データパレードの代表取締役で、高田馬場の町中華「一番飯店」のChief Data Officerも務めています。BIツールのセールスエンジニア・システムエンジニア・カスタマーサクセス歴15年。大学のデータサイエンス教育で講師も担当してきました。現在は自社業務のほとんどをAIに移管し、AI10部署と50を超える自動処理が24時間動く「AI経営」を実践中。その実践知をこのブログで発信しています。
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